研究室の特色
都市には様々な人々が活動しています。そして、それを成り立たせているのが環境です。環境とは、人を取り巻くものの総体で、自然環境、構築環境、社会的環境を含む広い概念です。都市安全環境研究室(諫川研究室)では、これらの関係性に着目して、環境をどのようにデザイン・マネジメントしていくべきかについて考えます。災害や犯罪など非常時の問題解決を主にしつつ、平時の生活環境のあり方についても広く学ぶことができるのが特色です。これは、従来別々に考えられがちだった「安全性」と「快適性」を兼ね備えた都市環境の創出を理念としているためです。
また、心理・行動面からのアプローチを重視していることも特色として挙げられます。よく「ハード」と「ソフト」という分類がなされますが、構造物を造る「ハード」も結局のところ、それを造り運用する人間を抜きには語れません。そうした視点から、人を対象としたアンケートやインタビュー、実験などの研究手法を多く用います。そのため、ゼミでの議論を通して、市民やユーザーの立場でものを考えるクセをつけることができます。
ゼミは通常は学年別ですが、年に数回合同で実施し、お互いの進捗報告をしています。2022年度は4年生10名、3年生7名が在籍しています。
プロジェクト演習
3年次のプロジェクト演習では、チームで課題に取り組みながら、防災や心理に関する知識を深めます。前期は、子ども向けの防災ゲーム作りを行ない、実際にイベントに出展する予定です。後期は、特定の地域を対象に主に安全・安心の観点から現状を分析し、提案を行ないます。
2018年度と2019年度の前期には、小中学生向けの防災イベントを企画し、夏休みに世田谷キャンパスで行なわれた「科学体験教室」に出展しました。
2018年度の後期には、江東区の大規模集客施設で想定される災害リスクや現地での情報周知の現状について調査を行ないました。
2019年度の後期には、高山市古い町並で実施したフィールドワークをもとに、歴史的都市における災害文化についてまとめ、学部展で発表しました。
2020年度の前期は、新型コロナウイルスによりすべて遠隔での実施となりましたが、コロナによる社会現象や経済への影響についてインターネットによる調査を行ないました。
2020年度後期と2021年度前期は、南町田グランベリーパークの周辺地域の地域資源を発掘し、地域資源の認知度を向上する提案づくりに取り組みました。
卒業研究
4年次の卒業研究では、基本的に個人の興味に沿ってテーマを設定し進めます。災害や防災・減災、防犯、環境心理学、環境デザインなどに関するテーマが指導可能です。研究の方法は、アンケート調査、インタビュー調査、観察、実験、文献調査など様々ですが、自分で街に出て五感で問題を発見すること、それを検証するデータを自分の手で集めることを重視しています。
<2018年度 卒業研究>
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翠尾 渓 プロ野球本拠地における災害対策の現状と課題
<2019年度 卒業研究>
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秋山徹太 サッカースタジアムにおける防災拠点としての現状と課題
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小泉智也 二度のオリンピック大会による国立競技場の変化と避難安全性の評価 ~避難有効面積と避難経路の安全性の観点から~
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斉藤 潤 高層ビルからの順次避難における情報提供が在館者の心理状況に与える影響
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佐藤彰馬 鉄道駅における日常災害の発生状況に関する研究 ~軽微な事故やヒヤリ・ハット事例に着目して~
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平野 樹 鉄道における事故発生時の避難誘導について ~乗客向けの避難マニュアルの提案~
<2020年度 卒業研究>
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泉磨理菜 水害リスクが居住地選択に及ぼす影響 ~東松山市高坂地区の居住誘導区域を対象として~
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九同須友和 バングラデシュにおけるサイクロンに対する住民の行動 ~バリサルとダッカを対象にして~
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近藤いぶき 大学生の防災行動の居住形態による差異 ~都内の大学に通う大学生を対象として~
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鈴木 圭吾 大型商業施設における立地特性の差による地震時の対策・活用について ~首都直下地震を想定して~
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高橋 克実 アリーナの災害時避難所としての活用可能性に関する研究
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中野 飛鳥 令和元年台風19号における多摩川流域自治体の対応の違い
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渡邉 孝信 暗渠周辺における住民の水害に対するリスク認知 ~世田谷区内の暗渠を対象として~
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渡部 健太 商業地の坂道が人々の期待感に与える影響
<2021年度 卒業研究>
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中島 慶悟 大学生の自転車に関する交通ルール認知と運転行動 ~道路の物理的環境に着目して~
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市村翔太朗 沿岸部の学校における津波対策の現状と課題 ~小田原市と藤沢市を対象として~
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小川 直希 アウトドアの経験が個人の防災力に及ぼす影響
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金屋 晴臣 沿岸部の鉄道における勝手踏切の安全性と津波避難に関する研究 ~江ノ島電鉄線を対象として~
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小島 未来 オンライン面接における背景空間が学生に対する印象形成に及ぼす影響
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田口 博章 オンライン防災ゲームの開発と評価 ~めざせクイズマスター!!~地震発生編~~
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田村 幹貴 歩行者の心理状況が坂道空間の期待感に及ぼす影響
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中江俊之介 大型物流施設の一時避難所としての有用性
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藤澤 優希 防災公園の整備が地域への愛着に与える影響 ~豊島区のIKE・SUNPARKを対象として~
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丸山 翔 災害発生時における都内スーパーマーケットの対応についての研究
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渡邊 和輝 隅田川親水テラスにおける行き止まり空間の利用状況と今後の活用について
<2022年度 卒業研究>
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石本 隼毅 自転車運転者の歩車道選択に歩道環境が与える影響
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小林 健太 水族館での災害発生時における飼育生物の扱いに関する研究
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鈴木辰治郎 現代における新築一戸建てと中古一戸建ての選択要因 ~神奈川県愛川町と綾瀬市を対象として~
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鈴木 颯人 日本の都市における災害レジリエンス指標の見直しと提案
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関口 颯太 自由散策における経路選択にスマートフォンのマップが与える影響
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田中 優太郎 災害発生時におけるTwitterの情報に対する信用度に関する研究
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中島 健介 水害リスクが高い地域における保育園の災害対策の現状と課題 ~世田谷区多摩川流域の保育園を対象として~
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町田 陽南 小規模イベント会場における災害対策と避難誘導 ~施設の避難誘導と観客の避難行動分析~
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本橋 大希 学生や生徒の防災意識が高まる学校の防災教育のあり方
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青木 翼 日産スタジアムと新横浜公園との災害対策の連携に関する研究