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研究紹介

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防潮堤の存在が住民の津波リスク認知と避難行動に及ぼす影響―沼津市静浦の事例から―

諫川輝之,横山ゆりか
<人間・環境学会誌(MERAジャーナル),Vol.22,No.1,pp.59-68,2019.9>
防潮堤の存在が、沿岸地域の住民の津波に対するリスク認知や避難行動に影響するかを実証的に明らかにするため、静岡県沼津市静浦の防潮堤がある地区とない地区の住民を対象として、防災意識や避難行動などに関するアンケート調査を行ない、311名のデータを比較分析した。その結果、防潮堤がある地区でも津波に対する危機意識は高いものの、ない地区に比べて非常に危険と考える程度は低くなっており、実際の津波時の避難率が低いこと、避難が必要と思う津波高が高いこと、ハザードマップを詳しく見た人や避難場所を決めている人が少ないことなどに有意な違いがみられた。このことから、防潮堤が、津波に対する浸水リスク認知や備え、避難行動に一定の影響を及ぼしていることが明らかとなった。

津波発生時における沿岸地域住民の行動 ―千葉県御宿町における東北地方太平洋沖地震前後のアンケート調査から―

諫川輝之, 村尾修, 大野隆造
<日本建築学会計画系論文集, Vol. 77, No. 681, pp. 2525-2532, 2012.11>
東北地方太平洋沖地震における甚大な津波被害を受け,人々の意思決定や行動の実態を把握し,防災対策の見直しに反映させていく必要がある。
本研究では,筆者が2008年に津波を想定して避難行動の意向等についてアンケート調査を行なった千葉県御宿町を対象として,前回調査との比較も行ないながら,今回の地震直後に沿岸地域の住民が実際にとった行動を個々人の状況や時間的な前後関係に着目して詳細に把握し,それらに影響した要因を明らかにする。
事前の想定質問に対して示された意向と実際の行動との大きな差異から、いわゆる「意識と行動の乖離」が明らかになり、また津波に関する情報を取得し緊急事態と認識しても,多くの人が避難しない傾向が示された。さらに,住民の行動は地震時にいた場所により異なること,避難以外の根源的な欲求に基づく様々な移動行動が見られることを指摘し,今後の防災対策において考慮すべき内容を示した。

情報・意識と避難実施の関係

地震時にいた場所別の行動パターン

住民の地域環境に対する認知が津波避難行動に及ぼす影響―千葉県御宿町の事例から―

諫川輝之, 大野隆造
<日本建築学会計画系論文集, Vol. 79, No. 705, pp. 2405-2413, 2014.11>
津波災害は沿岸域で発生するため、住民の避難行動も地域の地形や道路網などの物理的環境に対する認知に影響を受けると考えられる。
本研究では、東日本大震災において大津波警報が発令された千葉県御宿町を対象としてアンケート調査を実施し、津波時における避難実施の判断、避難場所・経路選択の実態を地域の環境と対応させながら詳しく分析するとともに、事後的に調査した環境認知構造との関連を考察した。
その結果、避難実施の判断は自宅の位置によって大きく異なっていたが、標高や海からの距離に関する認知は実際の空間とはずれていた。また、避難場所の選択は高さや近さ、指定の有無など様々な要因によっており、環境に対する認知が関係していた。さらに、海に近づく・川を渡るなどの危険な避難経路が多数選択されており、その一部は環境認知の歪みが影響していることが明らかになった。以上の結果をもとに、効果的な津波避難対策のための提案を行なった。

自宅の位置と避難実施の有無

危険性の高い避難経路とスケッチマップの例

高速道路休憩施設における地震時初期対応のための利用者の意識・行動分析

諫川輝之,添田昌志,山本浩司,伊藤佑治,大野隆造
<地域安全学会論文集, No.27, pp.121-128   2015.11>
高速道路の休憩施設における地震時の初期対応のあり方を検討するために,想定される事態を検討した上で,利用者に対するアンケート調査を行ない,防災意識や利用中に地震に遭遇した場合の行動について分析した。その結果,利用者の地震時の対応に関する理解は十分ではなく,通行止め時に無理に帰宅しようとする人が少なくない一方で,対応行動への協力意向は高いことが分かった。さらに,帰宅意向や協力意向が災害に対する認識や災害イマジネーションと関係していることが明らかになった。

地震時の帰宅行動意向

対応行動への協力意向

東日本大震災体験後における住民の津波避難に関する意識―軽微な津波を体験した千葉県御宿町における震災前後のアンケート調査から―

諫川 輝之,大野 隆造,村尾 修
<地域安全学会論文集, No.30(電子ジャーナル論文),2017.3>
東日本大震災による大津波の経験は、被災地以外の住民にも何らかの意識の変容をもたらしたと考えられる。本研究では、津波が襲来したものの大きな被害は受けなかった千葉県御宿町の沿岸地区住民の避難意識を検討するためにアンケート調査を行なった。筆者らは、同町において震災前にも同様の調査を実施しており、一部の設問について震災前後の比較が可能である。その結果、震災後何らかの防災対策を実施した家庭は多いが高齢者ほど実施率が低いこと、浸水リスクに関する認知傾向に震災前との差異は認められないことが明らかになった。

避難実施の有無別 行動の自己評価

震災前後における浸水リスク認知の比較

歩行者の置かれた状況が街路分岐点における経路選択に及ぼす影響(その1・その2)

諫川 輝之,大野 隆造
<日本建築学会大会学術講演梗概集E-1分冊,pp.883-886,2011.8>
街路の分岐点における経路選択は、歩行者の置かれている心理状況によって異なる傾向を示すと予想される。また、人は行動に必要な情報を周囲の環境から得ているが、状況が異なれば取得しやすい情報の種類も変化し、それが経路選択の差異として現れてくるものと考えられる。経路選択については、これまで多くの研究がなされてきたが、人の置かれた状況による差異については明らかになっていない。本研究では、緊急時・目的遂行時・散策時の3つの状況を想定したシナリオを与え、実験を行なった。様々な環境条件をもつY字型街路の映像を没入型三面スクリーンに提示し、状況ごとに選択されやすい経路およびその環境的な要因について考察した。

経路選択実験の様子

選択に用いられる環境情報の状況による差異

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